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2007年 09月 09日
いま中世の本を読んでいて、「ものぐさ太郎」の絵巻物の解析が面白かったので、今日はそれについて書きたいと思います。
「ものぐさ太郎」は「御伽草子」の中の一編です。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ものぐさ太郎はとにかく怠け者で、何もせずに寝て暮らしているのですが、ある日、村人たちに無理矢理夫役を押し付けられ京に行くことになります。そこで意外な才能を発揮して、お姫様をゲット、その上最後には高貴な生まれだった、ということも判明し、貴族として故郷に帰り死後は神様として祭られた……というトンデモ話です。 俺はこれを読んで、結構「今どき」なお話でびっくりしました。ね、アニメにありませんか? こんな調子のいい話。ちなみに、ものぐさ太郎の生活ぶりといったら、すごいですよ。 本当に何もしません。生活ぶりを見かねた村人が餅をくれるのですが、思わず取り落として道まで餅が転がり出ても、決して自分では拾いにいかず、棒切れで寄って来るカラスや犬を追い払いながら、誰か拾ってくれる人が通りすがるのを、3日も待ち続けたりする。もう、そのエネルギーを何か別のものに使え! というくらいの根性が座った怠けっぷりです。 ただこの物語は一見ハッピーエンドに見えるけど、そうじゃない。これは当時の格差(身分)社会の痛烈な皮肉に読める。だって、ものぐさ太郎がハッピーになれたのは、努力でも根性でもなく「持って生まれた血筋」だからでしょう?。前述の意外な才能とは、実は和歌の才能ですが、それも「貴族の血」が流れてるからたまたま才能があったとも読めるし。とんとん拍子に出世するのも結局天子のご落胤だってことだし。血統って最強!! という救いのなさなのです。 ひるがえって今の世の中は自由・平等ということになっていますが、この話を読むと今も昔も変わんないんじゃないかって感じてしまう。「血」と「コネ」で世界は回ってる、最近そんなことを感じる出来事が多いと感じませんか? そういう意味で今、生きることにやる気がでなくなっている人は、それを知っているからだと思う。よく彼らがフィクションやバーチャルに逃げこんでいる様を批判したり更には蔑視する人がいる(フィクションの作り手側も同じように批判される)けど、それは批判するポイントが間違っているんじゃないかと思う。 でもそんな救いのなさや、やるせなさも、「笑ってしまえる」ことにこの物語の魅力を感じるのです。それはとにもかくにも、ものぐさ太郎がどんな時も生きたいように生きているからだと思う。嫌なことや頭にくること、そしてやるせなくなるようなことも、時には笑い飛ばせるしたたかさが欲しいものです。 というわけで、太郎に惚れたあまりマンガにしてみました。 時間なかったんで、途中までのUPです。
by yamaneko_sha
| 2007-09-09 12:21
| inuboe
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